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なんたる失態だ…。

エコは舌打ちをした。

場所は神谷坂。
駅のホーム。
午後11時。

周りに人間はほとんどいない。
小さなこの駅で降りたのは、エコを入れて10名にも満たなかった。
エコを乗せていた電車は5分前に出発し、電光掲示板には次の電車が20分後だという知らせが流れた。
平日の深夜。

エコは壁に寄りかかりながら考えていた。

なぜ、自分はここにいるのかを。

そして、手を宙に向け持ち上げる。
降参しました、の合図ではない。

客観的に表現すると、エコのコートは赤かった。
しかし、元の色は白だと言うことが面積の差ではっきりしていた。

これは血液ではない。

しかし、エコの身体から排出されたものには違いない。
そう、正確には1時間前まではカクテルの姿をしていたものだ。
それがエコを、赤く染め上げている。


エコはふと、我に返り辺りを見回す。

目撃者は、いないか。
いたとしても、すでにその姿はない。
唯一あるのは、防犯カメラがどこかで回っているという可能性だけだ。
仮に全てが写っていたとしても、エコは名前もない大勢の乗降客の1人として処理されるだろう。

エコは回想する。

摂取したアルコールは800ml。
これはエコの限界値の130%を示していた。
もう1時間いたらどうなっていたか…。
エコは回らない頭で、あらゆる可能性を検討し、ほっとため息をついた。

どの結末より、一番マシに違いない。


そしてエコは上を向く。
無機質なコンクリートの天井。
親切に矢印の書いてある貼り紙。
目指すはトイレ、それだけだ。


エコは改札を出た。
矢印がそちらを指していたからだ。
階段を20段ほど昇る。
振り返って下を眺める。
標高4000mmほど、エコは上昇した。
しかし、探しているものが見つからない。
急降下。
静かな構内に足音が響く。
駅員がちらっとこちらを向く。
声をかけようか迷う。
簡単な単語だ。
それにエコの姿を見れば、すぐに察してもらえるだろう。

しかしエコはそうしなかった。
改札の中に、死角になって気付かなかった矢印の続きを見つけたからだ。

エコは急いで、切符を買い直した。
お釣りが落ちるのが、これほど長く感じたことはない。



続く
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